天然石と人工石の見分け方|偽物を買わないための5つのチェック
「偽物」と一口に言っても、ガラス玉、染色した天然石、研究室で作られた合成石では意味がまったく違います。何を確かめれば区別できるのか、順番に見ていきます。
目次
まず「偽物」の4つの種類を分けて考える
- 模造石(イミテーション)/ガラスやプラスチックを石に似せたもの。素材そのものが違います。
- 合成石/天然と同じ化学組成・結晶構造を人工的に作ったもの。物質としては本物です。
- 処理石/天然石に加熱・染色・含浸などを施したもの。素材は天然です。
- 誤表記/別の天然石を有名な石の名前で売っているもの。たとえば染色したハウライトを「ターコイズ」として販売する例。
問題になるのは、これらが正しく開示されていない場合です。合成石も処理石も、表示があれば正当な商品です。
チェック1:気泡を探す
ルーペ(10倍で十分)で内部を覗きます。まん丸の気泡が複数見えたら、ほぼガラスです。天然の水晶にも液体や気体の内包物はありますが、それらは平たい膜状や、細長い針状、二相包有物といった不規則な形をしています。真球が整然と並ぶことはありません。
プラスチックの場合は気泡に加えて、成型時の合わせ目(パーティングライン)が縁に残っていることがあります。指の腹でビーズの縁をなぞると段差を感じ取れます。
チェック2:色の入り方を見る
天然の色は、結晶の成長方向に沿って濃淡が変化します。アメジストなら先端が濃く根元が薄い、といった具合です。全体が均一にべったり濃い場合は、染色を疑ってください。
決め手になるのはひび割れです。染色品はクラックの内側に染料が濃く溜まり、線がくっきり色づいて見えます。ルーペでビーズの穴の内側を見るのも有効です。染めた石は穴の周囲だけ色が濃く残ることがあります。
チェック3:温度を確かめる
石を頬に当てるか、手のひらで握ります。天然の石英やコランダムは熱伝導率が高いため、しばらくひんやりしたままです。ガラスも冷たさはありますが石より早くぬるみ、プラスチックは数秒で体温になじみます。この差は慣れるとかなり明確に感じ取れます。
チェック4:傷のつきかたを調べる
水晶やアメジストは硬度7で、ガラス(硬度5.5前後)に傷をつけられます。目立たない場所で試し、ガラス板側に線が残れば硬度6以上。逆に石の側が削れるなら、それは石英ではありません。
ただし、この方法は商品には行えません。購入前ではなく、手元に来たあとの確認手段として考えてください。
チェック5:重さと形の完璧さ
同じ大きさで比べると、石英はガラスよりわずかに軽く、プラスチックは明らかに軽くなります。手に取ったときの「思ったより軽い」という感覚は、多くの場合正しい直感です。
もう一つ。粒がすべて均一で、傷も内包物も一つもないブレスレットは、天然石としてはむしろ不自然です。天然の石は個体差が出ます。完璧すぎる均一さは、加工品であることのサインになりえます。
名前に注意が必要な石
| 販売名 | 実際 |
|---|---|
| ハウライトターコイズ | 白いハウライトを青く染色したもの。ターコイズではない |
| チェリークォーツ | 着色ガラス。天然の水晶ではない |
| ブルーサンドストーン(青金石) | 人工のガラス。金属片を混ぜて作られる |
| ゴールドストーン | 同じく人工ガラス。イタリア発祥の工芸品 |
| グリーンアメジスト | アメジストの加熱処理石(プラシオライト)。天然の緑は極稀 |
| アクアオーラ | 水晶に金を蒸着させた加工品 |
これらは加工品として明示されていれば問題のない商品です。天然石として売られている場合にだけ注意してください。
買う場所で防げること
もっとも確実な予防は、産地・処理の有無を書いている店を選ぶことです。「加熱処理済み」「染色」と明記している店は、書かない店より信頼できます。価格が相場から極端に離れている場合も注意信号です。高額な宝石については、鑑別書(鑑定書ではなく、素材と処理の有無を記した書類)の有無を確認してください。
「クリスタル」という言葉自体が天然石と人工ガラスの両方を指すため、混乱の元になっています。詳しくはクリスタルと水晶の違いで整理しています。
この記事に出てくる鉱物
よくある質問
合成石は偽物なのですか?
物質としては本物です。天然石と同じ化学組成・結晶構造をもち、違いは生成の場が地中か研究室かという点だけです。問題になるのは、合成であることを開示せずに天然として販売する場合です。
ルーペは何倍のものを買えばいいですか?
10倍で十分です。気泡、クラック内の染料の溜まり、内包物の形はこの倍率で確認できます。20倍以上は視野が狭く手ぶれの影響が大きいため、最初の一本には向きません。
ハウライトターコイズはターコイズですか?
違います。白いハウライトという別の鉱物を青く染色したものです。加工品として明記されていれば正当な商品ですが、ターコイズとして販売されている場合は誤表記です。
気泡があれば必ずガラスですか?
まん丸の気泡が複数見える場合はガラスの可能性が高いです。ただし天然石にも液体や気体を含む内包物があり、これらは平たい膜状や針状など不規則な形をしています。形が真球かどうかが判断の分かれ目です。
安い天然石ブレスレットは疑うべきですか?
価格だけでは判断できません。水晶やアメジストは大量に産出するため、天然でも安価になります。むしろ確認すべきは、気泡の有無・クラック内の色の溜まり・粒が不自然に均一でないかどうかです。