ラピスラズリとは|和名「瑠璃」の意味・語源・産地とソーダライトとの違い
ラピスラズリは「石」と呼ばれますが、鉱物としては一種類ではありません。深い群青をつくるラズライトに、金色の黄鉄鉱と白い方解石が混ざった集合体です。和名は「瑠璃(るり)」。名前の由来から産地、そっくりなソーダライトとの違いまで順に見ていきます。
目次
ラピスラズリとは何か
ラピスラズリ(lapis lazuli)は、深い青色をした変成岩の一種です。主成分はラズライト(青金石)という含硫黄のケイ酸塩鉱物で、そこに黄鉄鉱(パイライト)の金色の粒と、方解石(カルサイト)の白い筋が混ざります。つまり単一鉱物の結晶ではなく、複数の鉱物が集まった「岩石」に分類されます。石灰岩がマグマの熱と成分を受けて変わる接触変成作用でつくられます。
- モース硬度/5〜5.5。ガラス(5前後)と同程度で、宝石としてはやわらかい部類です。ナイフの先で傷がつくこともあります。
- 色/群青〜藍色。カラーコードでいえば #26619C〜#1A3D7C あたりの、やや紫みを帯びた濃い青です。黄鉄鉱が細かく散ると、光の下で金色にきらめきます。
- 結晶系/主成分ラズライトは等軸晶系ですが、ラピスラズリ自体は塊状で産出し、はっきりした結晶形は示しません。
- 化学式/主成分ラズライトは (Na,Ca)8(AlSiO4)6(SO4,S,Cl)2。方ソーダ石グループに属します。
和名「瑠璃」の意味と語源
ラピスラズリの和名は瑠璃(るり)です。仏教で珍重される七つの宝「七宝(しっぽう)」のひとつに数えられ、金・銀・瑪瑙などと並ぶ神聖な青とされてきました。奈良・正倉院の宝物にもラピスラズリの装飾が伝わっており、日本では古代から知られた色です。「瑠璃色」という色名も、この石の群青から来ています。
英語名の由来もはっきりしています。lapis はラテン語で「石」、lazuli は中世ラテン語の lazulum(青、空)から。もとをたどるとペルシャ語の lāžward(ラピスラズリの主要産地の地名とも、青の意とも)に行き着きます。英語の azure(空色)やフランス語の azur も同じ語源で、いずれも「あの青い石の色」という意味合いです。
産地|世界の青はアフガニスタンから
ラピスラズリの産地は限られています。
- アフガニスタン(バダフシャン地方サーレサング鉱山)/世界最高品質とされる産地で、採掘の歴史は6000年以上。古代エジプトのツタンカーメンの黄金のマスクに使われた青も、メソポタミアの装飾品も、ほとんどがここから運ばれました。均質で濃い群青が出ます。
- チリ(オバジェ産)/流通量が多い産地。方解石の白がまだらに入るものが多く、価格は手ごろです。
- ロシア(バイカル湖周辺)/19世紀から知られる産地。青みが強く、黄鉄鉱が美しく散るものがあります。
- そのほかタジキスタン、パキスタン、米国(カリフォルニア)、カナダなど少量。
中世からルネサンス期のヨーロッパでは、この石を砕いて絵の具のウルトラマリンをつくりました。アフガニスタンから海を越えて運ばれたため「海を越えてきた青(oltremarino)」と呼ばれ、金より高価で、フェルメールやミケランジェロが聖母マリアの衣を描く色として特別に扱った歴史があります。
ソーダライトとの違い
ラピスラズリとよく混同されるのがソーダライト(方ソーダ石)です。どちらも同じ方ソーダ石グループに属し、青いため見た目も似ています。見分けの手がかりは次の通りです。
| 項目 | ラピスラズリ | ソーダライト |
|---|---|---|
| 黄鉄鉱(金色の粒) | 入ることが多い | 基本的に入らない |
| 白い部分 | 方解石(クリーム色の筋) | 白い脈(曹長石など) |
| 青の色調 | 群青〜紫みの濃い青 | やや暗い青・青灰色 |
| 比重 | 約2.7〜2.9(やや重い) | 約2.2〜2.3(軽い) |
| 塩酸への反応 | 方解石部分が発泡する | 発泡しない |
いちばん分かりやすいのは黄鉄鉱の有無です。金色の点が散っていればラピスラズリの可能性が高く、青一色で金がまったく見えなければソーダライトを疑います。ただし黄鉄鉱の少ないラピスラズリもあるため、迷ったら手に持った重さ(ラピスラズリのほうが重い)も合わせて判断します。なお「ラズライト(lazurite=青金石)」はラピスラズリの主成分鉱物の名で、まったく別の「天藍石(lazulite)」とは英字のつづりが1文字違うだけなので注意してください。
12月の誕生石として
ラピスラズリは12月の誕生石です(2021年に日本の誕生石が改訂された際、ターコイズ・タンザナイト・ジルコンと並んで12月に正式採用されました)。石言葉は「真実」「健康」「幸運」。古代メソポタミアやエジプトでは天空を映す聖なる石として神々や王の装飾に用いられ、「真実を見抜く石」として語り継がれてきました。
石に込められた意味や効果は各地で語り継がれてきた文化・伝承であり、科学的に実証されたものではありません。医療の代替にもなりません。石を楽しむ背景としてお読みください。
取り扱いの注意
- 水・酸・熱に弱い/硬度が低く多孔質で、長時間の水没や超音波洗浄で色が抜けたり割れたりします。浄化と称して水に浸けるのは避け、乾いた柔らかい布で拭くだけにします。
- 染色品に注意/方解石の白い部分を青く染めて色を濃く見せた製品が流通します。目立たない場所を、アセトンを含ませた綿棒で軽く擦ると色移りで判別できることがあります。
- 他の石と分けて保管/硬度5前後なので、水晶(硬度7)などと一緒に入れておくと擦れて傷がつきます。
この記事に出てくる鉱物
よくある質問
ラピスラズリとは何ですか?
ラズライト(青金石)を主成分に、黄鉄鉱や方解石が混ざった青い岩石です。単一の鉱物結晶ではなく複数鉱物の集合体で、石灰岩が熱変成を受けてできます。モース硬度は5〜5.5とやわらかめです。
ラピスラズリの和名は何ですか?
「瑠璃(るり)」です。仏教の七宝のひとつに数えられる神聖な青で、正倉院の宝物にも装飾が伝わります。「瑠璃色」という色名もこの石に由来します。
ラピスラズリの語源を教えてください。
ラテン語の lapis(石)と、中世ラテン語 lazulum(青・空)の組み合わせです。もとはペルシャ語の lāžward にさかのぼり、英語の azure(空色)と同じ語源です。
ラピスラズリの主な産地はどこですか?
最高品質はアフガニスタン北東部バダフシャン地方のサーレサング鉱山で、6000年以上の採掘の歴史があります。流通量が多いのはチリ産、青みの強いものはロシア産です。
ラピスラズリとソーダライトはどう違いますか?
同じ方ソーダ石グループですが、ラピスラズリは金色の黄鉄鉱を含むことが多く、比重も大きめ(約2.7〜2.9)です。ソーダライトは黄鉄鉱を含まず、比重が小さく(約2.2)、青がやや暗く見えます。金色の点の有無が最も分かりやすい手がかりです。
ラピスラズリは何月の誕生石ですか?
12月の誕生石です。2021年の日本の誕生石改訂でターコイズ・タンザナイト・ジルコンとともに正式に加えられました。石言葉は「真実」「健康」「幸運」です。