鉱物の化学式一覧|水晶はSiO₂、ダイヤモンドはC
水晶の化学式はSiO₂。たった三文字ですが、この式が水晶の硬さも、割れ方も、透明さも決めています。石を見分けるとき、化学式は色よりずっと確かな手がかりです。
目次
主要鉱物の化学式一覧
化学式・結晶系・モース硬度をまとめた表です。石名をクリックすると、その鉱物の詳しいページに移動します。
| 鉱物 | 化学式 | 結晶系 | 硬度 |
|---|---|---|---|
| アメジスト(紫水晶) | SiO2 | 三方晶系 | 7 |
| ローズクォーツ(紅水晶) | SiO2 | 三方晶系 | 7 |
| ラピスラズリ(瑠璃) | (Na,Ca)8(AlSiO4)6(SO4,S,Cl)2 | 等軸晶系(主成分ラズライト) | 5〜5.5 |
| エメラルド(翠玉・緑柱石) | Be3Al2Si6O18 | 六方晶系 | 7.5〜8 |
| 水晶(クリスタル・石英) | SiO2 | 三方晶系 | 7 |
| シトリン(黄水晶) | SiO2 | 三方晶系 | 7 |
| ターコイズ(トルコ石) | CuAl6(PO4)4(OH)8·4H2O | 三斜晶系 | 5〜6 |
| ガーネット(柘榴石) | X3Y2(SiO4)3 | 等軸晶系 | 6.5〜7.5 |
| ラブラドライト(曹灰長石) | (Ca,Na)(Al,Si)4O8 | 三斜晶系 | 6〜6.5 |
| マラカイト(孔雀石) | Cu2CO3(OH)2 | 単斜晶系 | 3.5〜4 |
| フローライト(蛍石) | CaF2 | 等軸晶系 | 4 |
| サファイア(青玉・鋼玉) | Al2O3 | 三方晶系 | 9 |
| ルビー(紅玉) | Al2O3 | 三方晶系 | 9 |
| ダイヤモンド(金剛石) | C | 等軸晶系 | 10 |
| アクアマリン(藍玉・緑柱石) | Be3Al2Si6O18 | 六方晶系 | 7.5〜8 |
| オパール(蛋白石) | SiO2・nH2O | 非晶質 | 5.5〜6.5 |
| ムーンストーン(月長石) | (K,Na)AlSi3O8 | 単斜晶系 | 6〜6.5 |
| ペリドット(かんらん石) | (Mg,Fe)2SiO4 | 斜方晶系 | 6.5〜7 |
| トルマリン(電気石) | Na(Li,Al)3Al6(BO3)3Si6O18(OH)4 | 三方晶系 | 7〜7.5 |
| トパーズ(黄玉) | Al2SiO4(F,OH)2 | 斜方晶系 | 8 |
| パイライト(黄鉄鉱) | FeS2 | 等軸晶系 | 6〜6.5 |
| アンバー(琥珀) | C10H16O | 非晶質(有機物) | 2〜2.5 |
| カルサイト(方解石) | CaCO3 | 三方晶系 | 3 |
| ロードクロサイト(インカローズ・菱マンガン鉱) | MnCO3 | 三方晶系 | 3.5〜4 |
化学式の読み方
鉱物の化学式は、その石を構成する元素と個数の比を表しています。水晶のSiO2なら、ケイ素(Si)1個に対し酸素(O)が2個。この比率で無限につながった立体の網が、水晶という結晶です。
- 括弧つきの元素/(Mg,Fe)2SiO4(ペリドット)のように書かれる場合、マグネシウムと鉄が同じ席に入れ替わりで入ることを意味します。この置き換えを固溶といい、鉱物の色の違いの多くはここで生まれます。
- (OH)/水酸基です。マラカイトのCu2CO3(OH)2のように、これを含む鉱物は高温で分解しやすい傾向があります。
- ·nH2O/結晶の中に水分子を抱えていることを示します。ターコイズやオパールがこれで、乾燥や加熱で水が抜けると変質します。
- XやY/ガーネットのX3Y2(SiO4)3のような書き方は、そこに複数の元素が入りうるグループ全体を表す式です。ガーネットが単一の鉱物ではなく、十数種のグループ名であることを示しています。
同じ化学式でも別の鉱物になる
化学式が同じでも、原子の並び方(結晶構造)が違えば別の鉱物です。これを同質異像(多形)といいます。
- C/ダイヤモンド(硬度10)と黒鉛(硬度1〜2)。同じ炭素だけでできていますが、結合の仕方が違うだけで、地球上でもっとも硬い物質と、鉛筆の芯になるほど柔らかい物質に分かれます。
- CaCO3/方解石(カルサイト)とアラゴナイト。同じ炭酸カルシウムですが、結晶系が三方晶系と斜方晶系で異なります。
- SiO2/水晶・アメジスト・シトリン・ローズクォーツはいずれもSiO2です。色の違いは、式に現れないほど微量な不純物と、受けた放射線量の差によります。
逆にいえば、化学式が同じだからといって同じ石とは限りません。石を特定するには、化学組成と結晶構造の両方が必要です。
Al2O3という一つの式が、ルビーとサファイアになる
ルビーとサファイアはどちらも鋼玉(コランダム)で、化学式はAl2O3。硬度も9で同じです。にもかかわらず赤と青に分かれるのは、アルミニウムの席にごくわずかに別の元素が入り込むからです。
- クロム(Cr)が入ると赤 → ルビー
- 鉄(Fe)とチタン(Ti)が組で入ると青 → サファイア
混ざる量は1%にも満たないことがあります。化学式には書かれないほどの微量元素が、宝石としての価値を大きく分けているわけです。エメラルド(Be3Al2Si6O18)とアクアマリンの関係も同じで、どちらも緑柱石という同じ式の鉱物です。
化学式から性質を読む
- 炭酸塩(CO3を含む)/方解石、マラカイト、ロードクロサイト。酸に弱く、酢やレモン汁で溶けて泡を出します。硬度も3前後と低めです。
- 硫化物(Sを含む)/パイライト(FeS2)など。湿気で酸化して崩れやすく、乾燥保管が必須です。
- ケイ酸塩(SiO4を含む)/地殻の大半を占めるグループ。水晶、長石、ガーネット、トルマリンなど。総じて硬く安定しています。
- 酸化物/コランダム(Al2O3)など。硬度が高く化学的に安定で、宝石になりやすい性質です。
化学式を覚える必要はありませんが、どのグループに属するかを知っておくと、「この石は水洗いしていいか」「酸に触れさせてよいか」といった扱いの判断がつきます。
この記事に出てくる鉱物
よくある質問
水晶の化学式は何ですか?
SiO₂(二酸化ケイ素)です。ケイ素1個と酸素2個の比でできた結晶で、アメジスト・シトリン・ローズクォーツもすべて同じ化学式です。色の違いは、式に表れないほど微量の不純物と天然放射線の影響で生じます。
ダイヤモンドの化学式を教えてください。
「C」、つまり炭素だけです。同じ炭素でできた黒鉛は硬度1〜2しかありませんが、ダイヤモンドは炭素原子が立体的に結合しているため硬度10になります。化学式が同じでも構造が違えば別の鉱物になる代表例です。
ルビーとサファイアの化学式は違いますか?
同じAl₂O₃(酸化アルミニウム)です。クロムが微量に入ると赤くなってルビー、鉄とチタンが入ると青くなってサファイアと呼ばれます。鉱物としてはどちらも鋼玉(コランダム)という一つの種です。
化学式にある「·4H₂O」はどういう意味ですか?
結晶構造の中に水分子を含んでいるという意味です。ターコイズのCuAl₆(PO₄)₄(OH)₈·4H₂Oがこれにあたります。この水が加熱や極端な乾燥で抜けると、色があせたり割れたりするため、保管時は乾燥させすぎないことが大切です。
化学式を知ると何の役に立ちますか?
扱い方の判断がつきます。炭酸塩(CO₃を含む方解石やマラカイト)は酸に溶け、硫化物(パイライトなど)は湿気で崩れます。化学式からグループがわかれば、水洗いしてよいか、乾燥剤が必要かといった手入れの方針を決められます。