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アメシストとアメジストの違いは?|鉱物名カタカナ表記ゆれ一覧

推し鉱物図鑑 編集部

アメシストとアメジストの違いは?|鉱物名カタカナ表記ゆれ一覧

同じ石なのに、店では「アメジスト」、図鑑では「アメシスト」と書いてある。どちらかが間違いなのかと思うところですが、実はどちらも通用します。分かれ目は、その名前が誰の世界から来たのかにあります。

目次

    アメシストとアメジスト、どちらも正しい

    結論からいえば、どちらの表記も誤りではありません。指している石はまったく同じ、紫色の水晶(石英)です。使い分けの傾向はおおよそ次のようになります。

    • アメシスト/鉱物学・博物館・標本の世界で使われることが多い表記。英語 amethyst の綴りに沿った読みで、日本鉱物科学会系の文献や科学館の展示ラベルではこちらを見かけます。
    • アメジスト/宝飾・パワーストーンの流通で圧倒的に多い表記。ジュエリー業界が長く使ってきた慣用で、通販サイトや誕生石の案内はほぼこちらです。

    なぜ二つに分かれたのか。英語 amethyst の th は日本語にない音で、外来語として取り込むときに「シ」と「ジ」のどちらにも寄せられました。同じことは英語由来の外来語全般で起きていて、たとえば bath が「バス」、smooth が「スムーズ」と揺れるのと同じ現象です。定着した時期と業界がそれぞれ違ったため、どちらも生き残りました。

    実務上の注意は一つだけ。検索するときは両方の表記を試すことです。標本や原石を探すなら「アメシスト 原石」、ブレスレットやルースなら「アメジスト」で、出てくる店の顔ぶれが変わります。石の種類や色の違いはアメジストの種類と見分け方にまとめました。

    表記が割れやすい鉱物名の一覧

    アメシスト/アメジストのほかにも、二通り以上の書き方が定着している石は少なくありません。よく見かけるものを整理します。左の表記が学術寄り、中央が流通で多い表記です。

    英名学術で多い表記流通で多い表記和名
    Amethystアメシストアメジスト紫水晶
    Agateアゲートアゲート/メノウ瑪瑙
    Aventurineアベンチュリンアベンチュリン/アヴェンチュリン砂金石英
    Labradoriteラブラドライトラブラドライト/ラブラドル曹灰長石
    Fluoriteフローライトフローライト/蛍石蛍石
    Rhodochrositeロードクロサイトロードクロサイト/インカローズ菱マンガン鉱
    Turquoiseターコイズターコイズ/トルコ石トルコ石
    Peridotペリドットペリドット/オリビン橄欖石(かんらん石)
    Citrineシトリンシトリン/シトリーヌ黄水晶
    Moonstoneムーンストーンムーンストーン月長石
    Lapis lazuliラピスラズリラピスラズリ/ラピス瑠璃・青金石
    Malachiteマラカイトマラカイト孔雀石

    漢字の和名だけをまとめて確認したいときは宝石・鉱物の漢字一覧が便利です。

    「アゲート」と「メノウ」はどう使い分けるか

    アゲートは、カタカナ名と和名の両方が同じくらい流通している珍しい石です。和名は瑪瑙(めのう)。呼び方の傾向はこう分かれます。

    • アゲート/輸入されたスライス標本、ブレスレット、海外産地名を冠した商品(ボツワナアゲート、レースアゲートなど)で使われます。
    • メノウ・瑪瑙/日本の産地や古典的な文脈で使われます。石川県の能登、青森の津軽など国内産地の話題ではほぼ「めのう」表記です。勾玉や骨董の世界も同様です。

    どちらも同じ石で、玉髄(カルセドニー)のうち縞模様をもつものを指します。詳しい成り立ちはアゲート(瑪瑙)のページに載せています。

    「〇〇石」という言い方について

    「アゲート石」「ターコイズ石」のように、カタカナ名のうしろに「石」をつけた言い方を見ることがあります。これは鉱物学の正式な名称ではなく、日本語として意味を補うための言い回しです。たとえば「アゲート」だけでは石の名前とわかりにくいため、「石」を足して通じやすくしている、という具合です。

    一方で、和名にはじめから「石」が入るものは正式名称です。蛍石(フローライト)、月長石(ムーンストーン)、曹灰長石(ラブラドライト)などがこれにあたります。和名の「―石」は鉱物名の語尾として定められた使い方で、「―鉱」(黄鉄鉱、菱マンガン鉱など)とあわせて体系的に決められています。おおまかには、金属資源として扱われてきたものが「鉱」、それ以外が「石」です。

    石の名前を検索するときのコツ

    1. カタカナと和名の両方で引く/「アゲート」と「瑪瑙」では出てくるページの性格が違います。産地や歴史を知りたいなら和名のほうが情報にたどり着きやすいことがあります。
    2. 英名も添える/海外の産地情報や標本の相場を調べるときは、英名(agate、aventurine など)で検索すると情報量が一気に増えます。
    3. 商品名と鉱物名を区別する/「インカローズ」「インド翡翠」「ゴールドストーン」などは流通上の呼び名で、鉱物名ではありません。インカローズはロードクロサイト、インド翡翠はアベンチュリン、ゴールドストーンは人工ガラスです。買う前に鉱物名を確かめてください。
    4. 意味を調べるときは石言葉として引く/「〇〇 意味」で検索すると通販ページばかりが並ぶことがあります。由来まで知りたい場合は石言葉一覧のように、意味の出どころを説明したページを探すのが近道です。

    この記事に出てくる鉱物

    よくある質問

    アメシストとアメジストはどちらが正しいですか?

    どちらも正しく、指している石は同じ紫水晶です。鉱物学や博物館の展示では英語の綴りに沿った「アメシスト」、宝飾やパワーストーンの流通では慣用の「アメジスト」が使われる傾向があります。英語 amethyst の th の音を日本語に取り込むときに、「シ」と「ジ」の両方へ分かれて定着したためです。

    アメシストとアメジストで石の品質は違いますか?

    違いません。表記の差は業界の慣習によるもので、石の種類・産地・品質とは無関係です。ただし検索結果の顔ぶれは変わるため、標本や原石を探すときは「アメシスト」、アクセサリーを探すときは「アメジスト」でも試してみてください。

    「アゲート石」という言い方は正しいですか?

    鉱物学上の正式名称ではありませんが、日本語として通じる言い回しです。正式にはアゲート、または和名の瑪瑙(めのう)と呼びます。一方、蛍石や月長石のように和名にはじめから「石」が入るものは正式な鉱物名です。

    アベンチュリンは「アヴェンチュリン」とも書きますか?

    どちらの表記も使われます。英語 Aventurine の v をどう写すかの違いで、石そのものは同じ、緑色の石英(和名は砂金石英)です。「インド翡翠」という名前で売られることもありますが、ヒスイとは別の鉱物なので注意してください。

    和名の「―石」と「―鉱」はどう違うのですか?

    和名の語尾は体系的に決められていて、おおまかには金属資源として扱われてきた鉱物が「―鉱」(黄鉄鉱、菱マンガン鉱など)、それ以外が「―石」(蛍石、月長石など)です。ただし例外もあり、命名された時代の事情が残っている場合があります。

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